三技協Optiマガジン第5号
01.[寄稿]三技協はセンサーSierを目指す(3)--技術開発のエピソード(1)
02.<リリース>SGCの最新ニュース-三技協メディアシステムズの取組み
01.[寄稿]三技協はセンサーSierを目指す(3)--技術開発のエピソード(1)
 

対談相手
A:渥美 治(株式会社三技協執行役員フェロー:通信や暗号技術に関する、当社の生き字引。このメルマガの対談を経て、色々な課題などを再度認識し、論文を取りまとめる日々。)
B:中沢 耕一(当社スタッフ:よもやま話の展開の行きがかかりから、参加しないわけには行かず、引き続いて参加。)

◎中沢:
このメールマガジンがきっかけとなり、渥美さんは3月4日のニュース番組で電子メールのセキュリティやプライバシーを守る方法について、インタビューを受けられました。
収録にも立ち会いましたが、番組キャスターとのインタビューは結構長かったですが、実際に放映されたのは二言くらいでしたね。

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」取材風景
 

■渥美:
そうなんですよ!内容からしますと、収録前の取材で話したことがそのまま番組の内容になっていると思いますが、結構言い足りない点はありましたね。それにしても、テレビカメラが回っている時にあたるライトが、こんなに暑くなるとは思いませんでした。

◎中沢:
そこで今回のメールマガジンは、インタビューでは言い足りない点や強調しておきたい点などを、お願いできましたらと思います。

■渥美:
サイバー犯罪は平成16年度で7万件・昨年度で10万件を超すことが予想され、検挙率は3%を切っています。犯罪発生の要因としては、次のようなことが上げられます。
1)匿名性が高い。
2)知識があれば、比較的誰にでもできる。
3)証拠が残りにくい。
4)時間の制約がない。
5)不特定多数が行う。

こうした要因から抑止力が低く、心理的なハードルも下がりますので、犯罪の誘引になりやすい面が挙げられます。こうした環境ですと、犯罪に縁の無い善良な市民でも、悪い誘惑によって引きずり込まれてしまう可能性がありますので、きちんとブレーキをかける必要があると思います。

◎中沢
安全を保つためには、技術やヒトへの教育や意識だけでは難しいでしょうか?

■渥美
そう思います。現在のインターネットは、コロンブスの新大陸発見に似ていてチャンスの大きい新世界のようですが、可能性と同時に闇も同居しています。
安全を保つためには、技術・法律・マネジメント・倫理の4つの条件が整っている必要があると考えます。現実にはセキュリティが立ち遅れている面があるので、法律とマネジメント(セキュリティポリシー)に頼らざるを得ません。
法律やマネジメントで縛るウエイトが高いと、人間の果たす役割が大きくなり、社会の秩序を保つのが難しくなります。結果、技術の確立が求められます。全ての条件を満たせば、安心感のある社会になるでしょう。

安全を保つための4つの条件
 

◎中沢
当初、メールのセキュリティやプライバシーについて、番組ではWINNYのウィルスによる自衛隊の情報漏洩に触れましたが、実際には偽メール騒動だったようです。
そもそも暗号化や本人認証の無いメールには、安全性を望むのは難しいのではないでしょうか?

■渥美
一般的な企業では、従業員に対してメールの業務目的以外の利用を禁じている場合が多く、監視も行われています。また企業だけではなく、メール監視はCIAなどの政府機関でもテロ防止のために幅広く行われていますので、プライバシーは無いものという前提で利用したほうが望ましいでしょう。
また強度の弱い暗号化ですと、解読される恐れがあるため、むしろ暗号化をしない方が安全でしょう。

◎中沢
暗号よりも、本人を証明する認証のほうが難しいのではないでしょうか?

■渥美
本人かどうかを証明する認証は、偽メール騒動であったように他人へのなりすまし、あるいは、盗聴や改ざんの温床になりやすいことは否めません。
認証は単純に、本人が離れた場所に居てもIDを確立するだけの役割のため、デジタル信号に変換されるとコピーされることから、生体認証でも危険と言えるでしょう。また、第三者のなりすましのおそれもありますので、1度使ったIDを2度は使えないようにするなど、OTP化(ワンタイム・パッド)が欠かせないものと考えています。

◎中沢
ところでテレビの取材にありました、動画や携帯電話で撮った写真を暗号化しているデモを見ましたが、あのような暗号化を研究しているのでしょうか?

ストリーム動画など処理の早い暗号化を行います。

■渥美
テレビでは、実際に共同研究を行っているものが放映されました。一般的にデータを暗号化しますと、荷物を梱包するようにデータが数十倍に増えてしまい、ブロードバンドのメリットが薄れてしまいます。
しかし、それではストリーム動画などの暗号化には対処出来ません。OTP暗号は、例えばインターネットによるテレビ会議のように、暗号化の処理の早さを求められる場合に、極めて有効なことをアピールしたのです。

◎中沢
こうした動画や画像による暗号化は、どのような分野で活用されるのでしょうか?

■渥美
例えば警察の捜査などで事件現場の写真や指名手配の写真など、リアルタイムに現場でやり取りを行い、スピードアップが求められている場合などに適しています。
では、我々が普段使っている携帯電話のメールの送受信や、内蔵のカメラを使用した画像のやり取りへの暗号化導入どうかと言うと、まだまだ技術的な問題が残されています。
 携帯電話に、今までのパソコンで用いられているような暗号化のシステムを載せますと、記憶媒体の容量の関係で入る余地がありません。なにより暗号化したり解読したりするのにバッテリーの消費電力が大きすぎて、通話可能時間や待ち受け可能時間が短くなってしまいます。
 一般の携帯電話に暗号化を搭載するのは、なかなか難しいと思われます。

かつては警察無線も犯人によって傍受されてしまうことが多々ありましたが、デジタル化によって隠匿性は高まっています。
 同じように一般の携帯電話のメールやパソコンにおいても、内容の秘匿が欠かせなくなってきているのは確かです。

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