三技協Optiマガジン第9号
01.[寄稿]携帯電話のアンテナ研究とオプティマイゼーション(2)
 

技術開発室 林田 章吾

○はじめに

今回は、日常生活に極めて身近な存在でもあります、携帯電話のアンテナの意
外に知られていない事実などについてご紹介したいと思います。

技術開発室 林田 章吾

技術開発室 林田 章吾
 

1) アンテナと感度
皆様お使いの携帯電話で「通話エリア内にもかかわらず、やたらに切れる」、「通じにくい」といった不具合が生じる場合があると思います。様々な要因があげられますが、携帯電話の本体もしくはアンテナが損傷しているために、起こる場合も少なくありません。

携帯電話はデリケートな精密機械で、例えば落としたり雨にさらしたりするなど、荒い扱い方をすると故障しやすくなります。特にアンテナ付近は損傷する場合が多く、注意が必要です。

2) 損傷以外による影響

携帯電話のアンテナ イメージ

前述致しました「通じにくい」ということは、アンテナの損傷以外にもいくつかの要因が考えられます。

主な要因として、

(1)人体の影響
1回目のコラムで簡単に申し上げましたが、人体は電気を通す大きな誘電損失体と考えることができ、アンテナを人体に近づけると波長が長くなり、そのためにパフォーマンスが低下してしまうことがあります。個人差もありますが、耳たぶにアンテナが触れることによるアンテナ特性の低下も報告されています。

(2)室内や建物内部の影響
特に集合住宅の場合、コンクリートを使用した部屋の中や、強化ガラスやワイヤ入りガラスなど電波への影響が大きくなり、通じにくくなる場合もあります。こうした場合は屋外に出て通話するか、もしくは室内用の中継器を用いると、効果が大きいでしょう。

また、携帯電話の周波数は800MHzが一般的ですが、実は低い周波数帯の方が、電波が飛びやすい傾向があります。そのため、次世代型の携帯電話のように、2.1Ghzと高い周波数帯ですと、電波が飛びにくくなり前述のとおり障害物の影響を受けやすくなると言えます。


(3)付属品や持ち方の影響
金属類を使用した携帯電話のストラップをじゃらじゃらと大量につけている方がいらっしゃいますが、実はこういった反射物や散乱体がアンテナの近くにあると着信や通話には良くありません。

また、一時期大ヒットした先端が光るアンテナも、電波の利得を低下させてしまうため、受ける電力が弱くなってしまいます。

他にも、携帯電話の持ち方も影響を及ぼします。
例えば、
「伸縮式のアンテナで、アンテナを伸ばさない」
「指で、アンテナの先端を押さえ込んで通話する」

伸縮式の携帯電話アンテナ イメージ
伸縮式のアンテナは、伸ばして使用します

などの場合には、仮に通話が可能でも、電池の持ちが悪化するなどデメリットが生じてしまいます。

そこで、
「着信したら、アンテナを伸ばして使う」
「通話中にアンテナを持ったまま使わない」(説明書で書かれている場合が多い。)

といった日常の予防がポイントとなります。

 

3)携帯電話などの内蔵アンテナ

電信機器には、携帯電話、 PHS 、ポケベルなど様々なものがありますが、内蔵アンテナも様々なタイプが用いられています。

 

携帯電話の内蔵のアンテナ、特にNTTドコモのPDC方式では、一般的に本体のスピーカーの裏側に1つ設けられています。これは「逆Fアンテナ」と呼ばれ、通話の品質を一定にするための受信専用になっています。近年では小型軽量化に加えて、 アンテナ機能のインテリジェンス化による内蔵化が進んでいるので、 こうした内蔵型平面アンテナが主流になっています。
また、逆Fアンテナは人体の影響を受けやすいため、アンテナ付近のところに指を触れないよう、説明書に注意書きがされています。


固定アンテナ イメージ

固定アンテナは、内蔵アンテナのある場合が多いです。
 

またPHSの場合には、ヘリカルアンテナが使われています。携帯電話と PHS は、サービス内容が異なっていますので、全く違う原理に思われがちですが、実際には使っている電波の周波数とアンテナの長さが異なるだけです。
ヘリカルアンテナの場合、一般的にアンテナが長いと感度は悪くなりますが、小型軽量性を優先し、導線をコイル状に密に巻いた仕組みとなっています。

こうした内蔵型アンテナは、他にもポケベルでループアンテナが使用されています。ループアンテナは、その名のとおり本体内部でアンテナが1周しているのでループアンテナと呼ばれています。このタイプは、電波を電界ではなく磁界としてとらえるので、人体によって磁界が強くなることを原理として使用しています。つまり、人体の影響で感度が良くなる性質があります。

またコードレス電話も、内蔵のアンテナがほとんどですが、微弱電波・もしくは特定省電力の規格のため、周波数が低いものの、100メートルくらい先まで届く場合もあります。


○まとめ
携帯電話では、電波の特性よりも小型軽量化を優先しているため、アンテナを設計する側にとって、難しい課題が山積しています。しかし、少しでも電波の感度を良くするために、本体の材質や内部の基盤の大きさを考慮して作られています。

また、電波は人体の影響を受けやすいので、携帯電話はこうした特性も考慮して設計されています。

携帯電話で通話中に、「通話が良く途切れる」といった場合には、こうした設計上の問題、電波の特性のほかに、日常の使い方によって大きく変わる場合もあります。利用者個人の心がけ次第で、通話状態を保つことも可能なのです。

また、建物の影響などによって通話状態が悪く圏外になりやすい場合には、市販の外部アンテナや車載用の外部アンテナなどのご使用を、お薦め致します。


お問い合わせ先
株式会社三技協
オプティマイゼーション営業本部 Optiマガジン発行担当
所在地:神奈川県横浜市都筑区池辺町4509
Tel:045-930-2515 Fax:045-930-2607
E-mail:Opti@sangikyo.co.jp